暮らし 間取り
2026.9.5 更新日/2026.9.11

家づくりで間取りを考え始めると、「家事動線を良くしたい」と思う方は多いのではないでしょうか。

毎日の料理や洗濯、片付けは、ひとつの作業だけで完結するものではありません。家の中を行き来しながら進めるからこそ、間取りによって負担の感じ方は大きく変わります。
ただ、家事動線のいい間取りは、単純に移動距離を短くすれば完成するわけではありません。

大切なのは、その家で過ごす人が普段どのように動き、どこで何をしているのかを間取りに落とし込むことです。
この記事では、家事を楽にする動線の考え方から回遊動線、収納計画、実際の住まいの工夫まで詳しくご紹介します。

家事のしやすさだけではなく、すっきりとした空間を保ちやすい住まいを考えてみましょう。

家事動線の良い間取りとは?まず押さえておきたい考え方

家事動線とは、料理や洗濯、掃除などをするときに家の中を移動する経路のことです。

そのため「家事動線の良い間取り」と聞くと、キッチンや洗面、ランドリースペースなどを近くにまとめた間取りを想像するかもしれません。もちろん距離を短くすることは大切です。ただし、それだけで本当に使いやすくなるとは限りません。

家事の仕方は家庭によって異なります。洗濯物を外に干す家庭もあれば室内干しが中心の家庭もあり、料理中に洗濯を進める人もいれば、時間帯を分けて家事をする人もいます。

家事動線を考える第一歩は、理想の間取りを探すことではなく、自分たちの生活を知ることです。

家事の「移動」と「作業」をひとつの流れで考える

家事動線で意識したいのは、単なる移動距離だけではありません。重要なのは「次の作業へどうつながるか」です。

料理を考えてみても、冷蔵庫から食材を取り出して調理するだけでは終わりません。食事ができればダイニングへ運び、食後には食器をキッチンへ戻して片付けます。

この一連の動きの中に何度も遠回りが発生すると、少しの距離でも毎日の負担になります。

反対に、キッチンとダイニングが横並びになっていれば、料理を運ぶときも食器を戻すときも動きがシンプルになります。数歩の違いでも、毎日繰り返す家事だからこそ使い勝手には差が出ます。

家事を楽にする動線を考えるなら、「ここからここまで何メートル」という距離だけを見るのではなく、ひとつの家事が始まってから終わるまでの流れを追ってみることが大切です。

人気の間取りが自分たちにも使いやすいとは限らない

SNSや施工事例を見ると、家事ラク動線を意識したさまざまな間取りが見つかります。

キッチンの近くにランドリールームを配置した間取りや、洗面、ファミリークローゼットなどをつないだ回遊動線もあります。参考になるアイデアはたくさんありますが、そのまま自分たちの家に取り入れれば使いやすくなるとは限りません。

室内干しをほとんどしない家庭であれば、大きなランドリールームを設けても十分に活用できない可能性があります。一方、共働きで夜に洗濯することが多いなら、天候や時間を気にせず干せる場所があることで家事の負担を減らせるでしょう。

間取りには、それぞれの家庭に合った「使う理由」が必要です。

人気があるから採用するのではなく、自分たちが普段どのように家事をしているのかと照らし合わせながら考えていく。その視点が、家事動線で後悔しない間取りにつながります。

間取りを考える前に「普段の家事の流れ」を整理しよう

間取りの打ち合わせでは、「キッチンは広くしたい」「ファミリークローゼットが欲しい」といった希望から話が始まりがちです。

そこで一度、部屋や設備から離れて考えてみましょう。確認しておきたいのは、今の住まいで家事をするとき、どこに面倒を感じているかということです。

洗濯物をしまうために家の中を何度も往復している。買い物から帰ると、玄関に荷物を置いて何度もキッチンへ運んでいる。こうした日常の小さな手間に、間取りを考えるヒントがあります。

新しい家での家事動線は、現在の生活を振り返るところから見えてきます。

料理は「買い物から片付けまで」で考える

キッチンの間取りというと、調理中の使いやすさに目が向きやすいものです。しかし、実際の家事動線は玄関からすでに始まっています。

買い物から帰宅したあと、食品や日用品をどこへ運ぶでしょうか。玄関からキッチンまでの間にリビングを横切る必要があれば、重い荷物を持ったまま移動することになります。

玄関からパントリーやキッチンへ入りやすい間取りなら、購入したものをそのまま収納できるため、帰宅後の動きが短くなります。さらにキッチンでは、冷蔵庫と作業スペース、ダイニングとの位置関係も重要です。

調理中だけを見るのではなく、買ってきた食材をしまうところから、食後の片付けが終わるところまでをひとつの流れとして考えると、家事動線のいい間取りがイメージしやすくなります。

洗濯は「洗う・干す・しまう」までつなげる

家事動線を考えるうえで、特に間取りの影響を受けやすいのが洗濯です。洗濯機の位置だけを決めても、洗濯という家事は終わりません。洗い終わった衣類を干す場所まで運び、乾いたあとには取り込み、それぞれの収納へ戻す必要があります。

ここで洗濯機と物干しスペースが離れていたり、衣類を収納する場所が別の階にあったりすると、移動する回数が増えていきます。

間取りの一例として、洗面やランドリースペースの近くにファミリークローゼットを配置する方法もあります。乾いた衣類を近くの収納へ移せれば、「しまう」までの流れが短くなります。

ただし、家族全員の衣類をファミリークローゼットに集約する方法が合う家庭ばかりではありません。各自の部屋で着替えることが多いなら、それぞれの個室収納を使ったほうが便利な場合もあります。

大切なのは、洗濯機から物干し場までの距離だけを短くすることではなく、最後に衣類がどこへ戻るのかまで考えておくことです。

掃除・片付けは「使う場所と収納」をセットで考える

家事を楽にする間取りというと、キッチンやランドリースペースが注目されがちですが、毎日の片付けも家の整いやすさを左右します。収納は、広ければ便利になるわけではありません。

掃除機を使うたびに離れた収納まで取りに行かなければならないなら、十分な収納量があっても使いやすいとは言いにくいでしょう。片付けも同じです。

帰宅後にバッグや上着を置く場所が決まっていなければ、ダイニングチェアやソファが一時置き場になりやすくなります。リビングをきれいに保とうと頑張るより、その手前に収納できる場所をつくるほうが自然に整うこともあります。

収納計画では「何畳つくるか」だけでなく、「何を、どこで使うのか」を考えてみてください。

家事動線と収納の位置がうまく重なると、片付けるためだけの移動が減り、物がLDKに集まりにくい間取りをつくりやすくなります。

家事が楽になり、暮らしも整いやすくなる間取りのポイント

家事動線のいい間取りには、すべての住宅に共通するひとつの正解があるわけではありません。それでも、毎日の動きを整理していくと、家事の負担を減らしやすいポイントはいくつか見えてきます。

ここからは単に「移動距離を短くする」という考え方だけではなく、住まいをすっきり見せる視点も含めて見ていきましょう。

キッチンとダイニングの距離を短くする

毎日繰り返す配膳と片付けを考えると、キッチンとダイニングの位置関係は家事動線に大きく関わります。そのひとつが、キッチンとダイニングテーブルを横並びに配置する間取りです。

キッチンの正面にダイニングを置く配置では、カウンターなどを回り込んで料理を運ぶケースがあります。一方、横並びならキッチンからダイニングへ短い動きで行き来しやすくなります。

食事が終わったあとも同様で、食器を下げるための往復がシンプルです。また、キッチンとダイニングの距離が近いことで、食事の準備を家族が手伝いやすくなることもあります。

家事をする人だけが効率良く動ける間取りにするのではなく、家族が自然に参加できる配置にする。それも、長い目で見れば家事を楽にする方法のひとつです。

キッチンと水回りをつなげて「ながら家事」をしやすくする

料理をしている間に洗濯機を回したり、お湯を沸かしている間に洗面まわりを整えたりと、複数の家事を並行して進める家庭も多いでしょう。

その場合、キッチンと水回りが大きく離れていると、そのたびに家の中を行き来することになります。

キッチンの近くに洗面やランドリースペースを配置すれば、料理の途中でも別の家事へ移りやすくなります。ここで注意したいのは、すべてを一か所に集めればいいわけではないことです。

水回りを近づけすぎることで、脱衣スペースへの出入りがLDKから見えやすくなるなど、プライバシーとのバランスが気になるケースもあります。

家事ラク動線をつくるときには、距離を縮めることと同時に「どこから何が見えるか」まで確認しておくと、機能性とデザインを両立しやすくなります。

洗濯スペースと収納の距離を短くする

洗濯動線を短くしたいなら、特に意識したいのが「しまう場所」です。

ランドリールームをつくったことで洗う・干す作業は便利になったものの、乾いた衣類を各部屋へ運ぶ手間が残ってしまったというケースも考えられます。そこで、ランドリースペースの近くに衣類収納を設ける間取りが選択肢になります。

洗濯物が乾いたら、その場で畳んで近くの収納へ。ハンガーに掛けた衣類なら、畳まずにそのまま移動できるよう計画することもできます。

一方、すべての衣類を水回り付近へ集めると、家族の着替え動線が長くなる場合があります。洗濯する人の動きだけではなく、衣類を使う家族の動きまで考えることがポイントです。

「洗濯を楽にするための収納」が、別の場面で使いにくさを生まないよう、家全体の間取りの中で考えていきましょう。

帰宅後に物が散らかりにくい玄関・収納・キッチン動線を考える

きれいなLDKを保つためには、片付けを頑張るよりも、物がLDKまで入ってきにくい間取りを考える方法があります。帰宅後の動きを思い浮かべてみると分かりやすいでしょう。

上着やバッグ、買ってきた食品などを持ったままリビングへ入れば、とりあえず近くに置きたくなります。あとで片付けようと思っていても、その「一時置き」が積み重なると生活感が出やすくなります。

玄関付近に日常使いの物を収納できる場所があり、買い物後はキッチンやパントリーへ移動しやすい。そんな間取りなら、LDKへ持ち込む物そのものを減らせます。

家事動線は、家事をしている時間だけを考えるものではありません。帰宅してからどのように家へ入り、どこで荷物を下ろすのか。その流れまで間取りに取り込むことで、片付けやすさと空間の美しさがつながっていきます。

生活感が出やすい場所は「見せる・隠す」を考える

使いやすさを優先すると、必要な物をすぐ手に取れる場所へ置きたくなります。しかし、キッチン用品や日用品がすべて見える状態になると、空間が雑然として感じられることもあります。

だからといって、何もかも扉の中へ隠せば使いやすいわけでもありません。よく使う物は手に取りやすくし、ストックや使用頻度の低い物は視線から外すなど、収納に役割を持たせることが大切です。

niko and ... EDIT HOUSEが大切にしているような、お気に入りの家具や雑貨を楽しむ空間でも、この考え方は変わりません。

見せたい物まで隠すのではなく、生活感につながりやすい物の居場所を先に決めておく。そうすることで、好きな物がきちんと映える空間をつくりやすくなります。

家事がしやすいことと、家がおしゃれに見えることは別々の話ではありません。毎日使う物が自然に収まり、必要なときにはすぐ取り出せる。その積み重ねが、無理をしなくても整いやすい住まいにつながります。

回遊動線は便利?メリットだけでなく注意点も知っておこう

家事動線について調べていると、「回遊動線」という言葉を目にする機会も多いのではないでしょうか。回遊動線とは、家の中に行き止まりをつくらず、複数の方向から移動できるようにした動線です。

キッチンから洗面へ移動し、廊下を通って再びLDKへ戻れるような間取りもそのひとつです。移動経路を選べるため便利な一方、回遊できる間取りにすれば自動的に家事が楽になるわけではありません。

回遊動線が向いている暮らし

回遊動線の大きなメリットは、ひとつの場所へ向かう経路を複数つくれることです。特に家族が同じ時間帯に動く家庭では、人が一か所へ集中しにくくなるメリットがあります。

朝、キッチンで食事の準備をしている人がいる一方で、家族は洗面へ向かう。そんなときに通路がひとつしかなければ、動きが重なって窮屈に感じることがあります。

複数方向からアクセスできる間取りなら、家族それぞれが目的の場所へ移動しやすくなります。

また、キッチンと水回りを回遊できるようにつなげれば、料理の合間に洗濯を進めるといった家事にも対応しやすくなります。家事だけではなく家族全員の移動まで含めて考えることで、回遊動線の良さを生かしやすくなります。

回遊できれば必ず家事が楽になるわけではない

便利そうに見える回遊動線にも、注意したい点があります。

通り抜けられる場所をつくるには、そのためのスペースが必要です。本来なら収納にできた壁面が通路になったり、家具を置ける場所が限られたりする可能性があります。

特に限られた床面積の中で無理に回遊動線を取り入れると、通路の割合が大きくなり、居室や収納が小さくなることも考えられます。そこで確認したいのが、「なぜ回遊したいのか」です。

キッチンから洗面への移動を短くしたいのであれば、必ずしも一周できる間取りにする必要はありません。単純にキッチンと洗面を近くへ配置するだけで解決できる場合もあります。

回遊動線そのものを目的にせず、解決したい不便から考えることが大切です。

回遊動線は実際に歩いて確認すると分かりやすい

図面上では便利そうに見える回遊動線でも、実際の距離感まではなかなか想像できません。そこで参考になるのが、完成した住宅やモデルハウスです。

キッチンに立った状態から洗面へ歩いてみたり、玄関から収納を通ってLDKへ移動してみたりすると、「ここがつながっていると便利」という感覚を体で確認できます。

同時に、通路の幅や視線の抜け方も見えてきます。

niko and ... EDIT HOUSE HIMEJIのモデルハウスでは、平屋と2階建ての住空間を実際に体感できます。図面だけではつかみにくい距離感を比べながら、自分たちならどのように動くかを想像してみるのも、間取りを考えるヒントになります。

実際の住まいから見る、家事動線と空間を整える工夫

家事動線を考えるとき、図面だけを見ていても実際の使いやすさを想像しにくいことがあります。そこで参考にしたいのが、実際に建てられた住まいです。

キッチンとダイニングがどのようにつながっているのか、水回りまでどのくらいの距離なのか。さらに、収納をどこにつくることでLDKをすっきり見せているのかまで見ていくと、自分たちの間取りに取り入れたい工夫が見つかります。

ここでは、niko and ... EDIT HOUSE HIMEJIの施工事例から、家事動線とデザインを両立した住まいをご紹介します。

キッチンと洗面をつなぎ、家事とデザインを両立した家

「深みのあるグレーと異素材が映える家」は、ダークトーンを基調とした外観や、木・アイアンなどを組み合わせたインテリアが印象的な二階建てです。デザインだけでなく、毎日の家事をスムーズにする間取りにも工夫が見られます。

キッチンとダイニングは横並びに配置されているため、料理を運ぶときや食後の片付けで大きく回り込む必要がありません。毎日繰り返す配膳や片付けだからこそ、こうした移動の短さが家事のしやすさにつながります。

さらに、キッチン奥には洗面スペースを配置。料理の合間にも水回りへ移動しやすく、複数の家事を並行して進めやすい動線になっています。

キッチン背面にはniko and ... のキャビネット、玄関にはOSB合板の可動棚を取り入れるなど、収納にもこの家らしい工夫があります。生活感のある物をすべて隠すのではなく、見せる収納もインテリアの一部として楽しめる住まいです。

家事動線の良さとデザインのどちらかを優先するのではなく、使いやすさを考えながら好きな空間をつくる。その両方を叶えた間取りとして参考にしたい事例です。

【この施工事例を詳しく見る】

使いやすいキッチンと収納で、暮らしを整えた家

もうひとつ参考にしたいのが、「暮らしを編集する家」です。「日常にもワクワクを」をテーマに、オークの床とスチールを組み合わせたLDKや大きな吹き抜けなど、niko and ... EDIT HOUSEらしい遊び心を感じられる二階建てです。

家事動線という視点で注目したいのは、キッチンと収納のつくり方。キッチン背面にはタイルを取り入れながら十分な収納を確保し、調理中に使う物を近くにまとめやすくしています。物が集まりやすいキッチンだからこそ、使う場所と収納を近づけることで、作業中の移動を減らしながらすっきりとした状態を保ちやすくなります。

また、両側に可動棚とハンガーパイプを設けた大容量の収納もあり、衣類や日用品などをまとめて収められるつくりです。リビングにつながる土間には、自転車やアウトドア用品を置くこともでき、家の中へ持ち込む物の居場所もしっかり考えられています。

さらに洗面にはツインボウルを採用。家族の身支度が重なる時間帯にも使いやすく、家事だけでなく家族それぞれの動きにも配慮されています。

収納量を増やすだけではなく、「どこで使い、どこへ戻すか」まで考えることで、家事のしやすさと整った空間を両立した住まいです。

【この施工事例を詳しく見る】

平屋と2階建てでは家事動線の考え方も変わる

家事動線を考えるときは、平屋か2階建てかによってもポイントが変わります。

平屋は生活空間がワンフロアにまとまるため、上下階を移動する必要がありません。洗濯スペースと収納を近づけたり、キッチンと水回りをつないだりと、家事動線をコンパクトにまとめやすいのが特徴です。ただし、廊下が長くなれば移動距離も増えるため、LDKや水回り、収納の位置関係まで確認する必要があります。

一方、2階建てでは、上下階の移動をできるだけ減らすことがポイントです。1階で洗濯して2階で干す間取りでは階段の往復が増えるため、室内干しスペースや衣類収納を水回りの近くにまとめる方法も考えられます。

大切なのは、「平屋だから家事が楽」「2階建てだから移動が多い」と決めつけないことです。普段の洗濯方法や家事の進め方をもとに考えることで、それぞれの住まいに合った家事動線が見えてきます。

家事動線を考えるときに注意したい失敗・後悔ポイント

家事動線を重視して間取りを考えていても、暮らし始めてから「思っていたより使いにくかった」と感じることはあります。

その原因の多くは、家事動線そのものが悪いというより、ひとつの動きだけを見て間取りを決めてしまうことにあります。

ここでは、家事動線を考えるときに気をつけたいポイントを見ていきましょう。

家事動線だけを優先して他の生活動線を忘れる

家事をする人にとって便利な間取りでも、家族全体で見ると使いにくくなるケースがあります。分かりやすいのが、朝の洗面です。

キッチンから洗面へ移動しやすい間取りをつくっても、その通路を家族が身支度のために頻繁に横切れば、料理をしている人と動線がぶつかることがあります。玄関周辺でも同じです。

買い物後すぐにキッチンへ入れる家事動線をつくったことで、家族が帰宅してリビングへ向かう動線と重なってしまうことも考えられます。

家事動線を考えるときには、家事をする一人だけを図面上で動かすのではなく、同じ時間に家族がどこを通るかまで確認してみてください。特に朝や夕方は人の動きが集中します。

動線が短いことよりも、家族同士が無理なくすれ違えることのほうが、実際の使いやすさにつながる場合もあります。

洗濯動線が途中で終わっている

家事動線で後悔しやすいポイントのひとつが、洗濯です。

ランドリールームをつくると、洗う場所と干す場所は近くなります。しかし、その先の収納まで考えていないと、結局は乾いた衣類を抱えて家の中を移動することになります。

洗濯動線を考えるときは、「洗濯機から物干し場まで」ではなく「衣類が収納へ戻るまで」を確認しましょう。

また、畳む作業をどこでするかも家庭によって異なります。

ランドリースペースで畳むなら作業台があると便利ですが、リビングでテレビを見ながら畳むことが多い家庭なら、無理にランドリー内へ作業スペースをつくらなくてもよいかもしれません。

現在どのように洗濯しているかを振り返ると、必要な設備や広さも判断しやすくなります。

収納を増やしても、使う場所から遠い

「新しい家では収納をたくさんつくりたい」という希望はよくあります。ただし、収納量を増やしたからといって片付けやすくなるとは限りません。

リビングで使う物を廊下の奥まで片付けに行く必要があれば、毎回収納へ戻すのが面倒になり、結局は近くに置いたままになってしまうことがあります。

収納計画では広さより先に、使う場所との距離を確認してみましょう。玄関で使う物は玄関近くへ。キッチンで使う物ならキッチンまわりに収まる場所を確保する。

こうして実際の動きに沿って収納を配置すると、わざわざ「片付ける時間」をつくらなくても、日常の動きの中で物を戻しやすくなります。

家事動線と収納計画は別々に考えるのではなく、同じ間取りの中で一緒に組み立てることが重要です。

回遊動線そのものが目的になっている

家づくりの情報を集めていると、「回遊できる間取りにしたい」と考える方もいるでしょう。もちろん、回遊動線には便利な面があります。

ただ、採用すること自体が目的になると、本来必要だった収納や家具を置く壁面が減ってしまう場合があります。通り抜けるために出入口を増やすということは、それだけ壁として使える部分が減るということでもあります。

収納家具を置きたかった場所が通路になったり、テレビやソファの配置が限定されたりすれば、別の使いにくさにつながります。

回遊動線を検討するときには、まず「何を解決するためにつくるのか」を明確にしましょう。キッチンと水回りの往復を減らしたいのか、朝の混雑を避けたいのかによって、必要なつながり方は異なります。理由がはっきりしていれば、回遊させる範囲も決めやすくなります。

自分たちに合う家事動線は「いつもの暮らし」から考えよう

ここまでさまざまな家事動線をご紹介してきましたが、大切なのは理想的な間取りを探し当てることではありません。

SNSや住宅雑誌には魅力的な間取りが数多く掲載されています。しかし、その家族にとって使いやすい間取りが、自分たちにも合うとは限らないからです。間取りづくりのヒントは、むしろ今の生活の中にあります。

少し面倒に感じていることや、毎日の中で何度も繰り返している動きに目を向けるところから始めてみましょう。

平日朝・帰宅後・休日の動きを書き出す

間取りを考える前に、家族が普段どのように家の中を動いているかを整理すると、自分たちに必要な家事動線が分かりやすくなります。特に確認したいのは、忙しい時間帯です。

朝であれば、誰が最初に起きて洗面を使うのか、朝食の準備と身支度が同じ時間に重なるのかを考えてみます。帰宅後なら、玄関へ入ってから何をどこへ置き、そのあとどの部屋へ向かっているでしょうか。

休日になると平日とは家の使い方が変わる家庭もあります。まとめて洗濯をすることが多かったり、家族で料理をしたりするなら、それも間取りを考える材料になります。

住宅展示場のような理想的な一日を想像する必要はありません。

普段の生活をそのまま図面に重ねてみるほうが、「ここは近いほうがいい」「この通路は家族とぶつかりそう」といった具体的な気づきにつながります。

「何を楽にしたいか・どこをすっきり保ちたいか」の優先順位を決める

すべての家事動線を最短にしようとすると、間取りには無理が生じます。家の広さには限りがありますし、家事動線を優先したことでLDKが狭くなったり、収納量が減ったりしては本末転倒です。

そこで考えたいのが、自分たちにとって優先したいことです。

毎日洗濯物を運ぶ負担が大きいなら、洗濯動線を優先して考える。買い物後の片付けを楽にしたいなら、玄関からキッチンまでのつながりを重視するなど、現在感じている不便から順番を決めていくと間取りを整理しやすくなります。

また、「家事を楽にしたい」という視点だけでなく、どこをすっきり見せたいのかも考えてみてください。

LDKにはできるだけ日用品を出したくないという人もいれば、お気に入りの道具は見える場所へ飾りたいという人もいます。その違いによって、必要な収納の形は変わります。

家事ラク動線を考えることは、効率だけを追い求めることではありません。毎日無理なく片付けられ、自分たちが気持ちよく過ごせる状態をつくること。そのために何を優先するのかを決めると、間取りにも自分たちらしさが表れてきます。

図面だけでなく実際の住まいを歩いて確認する

間取り図を見ていると、キッチンと洗面が隣にあるだけで「近くて便利そう」と感じます。

しかし、実際には間に扉があったり、家具を置くことで通れる幅が変わったりするため、図面だけでは分からない部分があります。

だからこそ、間取りを考える段階でモデルハウスや完成した住まいを実際に歩いてみることが大切です。

玄関からキッチンまで歩いてみる。キッチンから洗面へ移動してみる。ダイニングチェアを引いた状態で、どのくらい通路が残るのかも確認してみる。数字だけで見ていた距離が、実際の感覚として分かるようになります。

また、モデルハウスを見るときは「おしゃれだから」という視点だけで終わらせず、自分がその家で過ごしているつもりで歩いてみるのがおすすめです。

朝起きたらどこへ向かうのか。買い物から帰ったときにはどのルートでキッチンへ行くのか。実際の空間に自分たちの日常を重ねることで、必要な家事動線がより具体的に見えてきます。

この記事のまとめ

家事動線の良い間取りは、毎日の小さな動きからつくられる

家事動線の良い間取りを考えるとき、キッチンと洗面を近づけたり、回遊動線をつくったりすることだけが正解ではありません。

大切なのは、自分たちが普段どのように家事をしているかを知ることです。

料理なら買い物から片付けまで、洗濯なら洗って収納するところまでをひとつの流れとして考える。さらに家族の生活動線や収納する場所まで重ねていくことで、本当に使いやすい間取りが見えてきます。

そして、家事がしやすい家は、単に効率が良いだけの家でもありません。

物を使う場所の近くに戻せる仕組みがあれば、無理に片付けを意識し続けなくても空間を整えやすくなります。生活感が出やすい物をきちんと収納できれば、お気に入りの家具や雑貨も自然と映えるようになります。

niko and ... EDIT HOUSE HIMEJIでは、平屋と2階建て、それぞれの住空間をモデルハウスで実際にご覧いただけます。公式サイトでも施工事例が公開されており、横並びのキッチン・ダイニングや回遊性を意識した動線、収納の取り方など、実際の家づくりを参考にできます。

「自分たちなら、ここをどう使うだろう」と考えながら歩いてみると、図面だけを見ているときには気づかなかったことが見えてくるはずです。

家事を少し楽にしたい。きれいに片付いた空間も楽しみたい。

その両方を叶えるために、まずは今の家で感じている不便や、普段の家事の流れをお聞かせください。niko and ... EDIT HOUSE HIMEJIでは、ご家族それぞれの過ごし方に合わせながら、家事動線や収納まで含めた間取りをご相談いただけます。